公正証書遺言の検索システム

昭和64年1月1日以降に作成された公正証書遺言については、全国どこの公証役場においても、①遺言者氏名、②作成した公証役場、③作成生年月日、④公証人名、⑤証書番号を確認することが可能です。

公正証書遺言は作成後データベース化されるため、作成した当該公証役場においては当然ですが、それ以外の公証役場においても、遺言が存在するとのデータを確認することが可能です。データで確認することができるのは遺言の存否のため、遺言内容については、作成した当該公証役場において、原本閲覧や謄本交付請求により確認することになります(遠方の公証役場の場合もあるため、謄本交付請求を郵送請求で行うことも可能です)。なお、秘密証書遺言の作成においても公証役場が関与するため、検索システムで存否を確認することができますが、遺言内容については管理されていないため確認することができません(そもそも内容を知られずに作成する遺言形式のため)。

遺言者の生前は、遺言の検索は遺言者(及び代理人)のみが行うことができます。推定相続人に内緒で遺言を作成していることもあるため、推定相続人も遺言検索を行うことはできません。ただ生前については、公正証書遺言を作成した遺言者は、その旨把握していることが通常ですし、手元に遺言書正本・謄本があるため、あまり利用されることはないかもしれません。

遺言者が亡くなった後は、遺言者の法定相続人その他法律上の利害関係人(及び代理人)が遺言検索を行うことが可能です。遺言書の正本・謄本が保管されていなかったり、遺言者が生前相続人に遺言を作成したことを伝えていない場合には、遺言書が存在することを見落として相続手続きを行なってしまうおそれがあるため、遺言検索を行うことが有用です。なお、検索自体は無料ですが、遺言者が死亡している事実や請求者が相続人等であることを証明するため、除籍謄本等を用意する必要があります。

また、公証役場の遺言検索システムにおいて管理されるのは、公証役場を介して作成する遺言(公正証書遺言・秘密証書遺言)のみのため、自筆証書遺言はそもそも存否についても、自宅や貸金庫等を物理的に確認する必要がありますし、法務局の遺言書保管制度を利用している場合には、法務局において確認する必要があります。

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