遺言書保管制度における遺言書保管の通知

法務局における遺言書保管制度を利用して、遺言書が保管されている場合、亡くなった遺言者の相続人等がその存在を知らなかったとしても、①関係遺言書保管通知(法務局における遺言書の保管等に関する法律第9条5項、政令第9条4項,省令第48条)、②死亡時通知(準則第19条)により知ることができる可能性があります。

相続人が遺言書保管の事実を(遺言者の生前に聞いていたなどで)知っていた場合には、遺言者が亡くなった後に遺言書情報証明書を取得した上で、その内容に基づく相続手続を行うことが可能です。しかし、遺言書は遺言者のみで作成することができるため、相続人がその存在を知らない場合も多く、遺言者の死後に相続人がその存在に気づかずに相続手続を進めてしまっては意味がありません。そこで、遺言書保管制度では、なるべく相続人等が知ることができる様に通知制度を設けています。(なお、相続人等とは相続人、受遺者、遺言執行者のことです。)

まず、①関係遺言書保管通知では、遺言者が亡くなった後に相続人等が遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付を受けた場合に、他の相続人等にも通知がされることになっています。通知がされるためには相続人等が遺言書情報証明書の交付を受けるなどの行動をとることは必要ですが、通知自体に事前にとっておく手続などはありません。一部の相続人等が遺言書内容を確認したら自身に不利益な内容であったため、遺言書を無視して相続手続を行なってしまうことなどを防ぐ趣旨があります。

また、②死亡時通知は、遺言書保管官(法務局の担当職員)が遺言書の死亡の事実を知った場合に、指定の人に通知がされる制度です。こちらは①と異なり、遺言者が生前に通知される人を指名しておくことが必要です。なお、遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を知る場合とは、相続人等の一部が遺言書閲覧を行った場合や遺言書情報証明書の交付を受けた場合の他、役所の連携により知る場合もあります。

①②では、相続人等はあくまで遺言書保管の事実を知るだけですので、遺言書内容の確認や遺言に基づく相続手続には遺言書情報証明書の交付を受けることが必要です。

*法務局サイト「遺言書保管官による相続人等への通知」より引用

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