相続登記申請義務違反の過料通知
2024年4月1日から、不動産の相続登記が義務化されます(改正不動産登記法第76条の2)が、法務省よりその手続詳細の通達(法務省民二第927令和5年9月12日)が出されています。
過料に処せられる流れとしては、①登記官が申請義務違反者に対し、相当の期間を定めて申請をすべき旨の催告(申請の催告)を行い、その期間内に申請がされない場合に「限り」、②登記官が遅滞なく、管轄地方裁判所へ通知(過料通知)を行う。その結果、③裁判所が過料の決定を行い、義務違反者に過料決定が通知されることになります。
①について、申請の催告は書留郵便等により催告書を送付して行うことになっています。そして、定められた期間内に登記申請がされた場合や正当な理由がある旨の申告がされ、正当な理由があると認められた場合には、過料通知は行われません。正当な理由の申告方法としては、催告書に記入欄があるため、登記申請をしていないことにつき正当な理由を記入し、裏付資料を添付して法務局に持参又は郵送します。
(正当な理由については、☞相続登記義務化の運用方針(2023年7月11日)を参照ください。)
そして、そもそも登記官が申請の催告を行う場合(申請催告を行う端緒)については、次の事由により申請義務違反があることを職務上知ったときに「限り」行うとなっています。
・相続人が遺言書を添付して所有権移転登記を申請した場合に、その遺言書に他の不動産の所有権についても当該相続人に遺贈し、承継させる旨の記載があるとき(にも関わらずその不動産については登記申請がされていないとき)。
・相続人が遺産分割協議書を添付して所有権移転登記を申請した場合に、その遺産分割協議書に他の不動産の所有権についても当該相続人に遺贈し、承継させる旨の記載があるとき(にも関わらずその不動産については登記申請がされていないとき)。
そのため、申請の催告がされない限り過料通知がされることはなく、申請の催告がされる場合は上記に限定されるのであれば、実際に過料に処せられるのは限定的な場合に限られる可能性があります。
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