住所変更登記の一括申請

登記申請は、(登記目的、登記原因に応じて)1つの不動産ごとに1件申請するのが原則です。ただし複数不動産であっても、①同管轄で、②登記目的、③登記原因及び日付が同じであれば、複数まとめて1件で申請することが可能です(不動産登記令第4条)。

例えば、同じ市内に10筆の土地があり、登記名義の住所、氏名が全て同じ記載である場合に、引っ越しで住所を移転した場合、登記申請1件で10筆の住所変更登記を行うことが可能です。(当たり前に感じるかもしれませんが、上記の様に、条文構造上は例外としての取扱いになっています。)

また、甲が住所をA→B→Cと2回引越しをした場合で、同じ市内に2筆の土地があり、登記したタイミングが異なるため、1筆はAの住所で、もう1筆はBの住所で記載がある場合に、Cへの住所変更登記も2筆の土地まとめて1件で登記申請することができます。前提として、A→B→Cと2回住所移転があった場合も、最終の(B→Cの)住所移転日付で1回登記申請を行えばよいため、2筆とも登記原因及び日付は同じになります。(ただし、申請の添付書類としては、A→B→Cと記載のあるものを用意する必要があります。)

同じ例で、土地2筆の内1筆は甲単独所有、もう1筆は2分の1の甲共有持分であった場合も、甲のみの住所変更登記は1件で行うことができます。この場合、変更後の事項は「所有者及び共有者甲の住所〜」となります。

また、複数不動産の例ではないですが実務上あるケースとして、甲乙夫婦共有名義の土地で(同居しているため)記載住所が同じAである場合に、甲乙夫婦がA→Bと同じ住所へ引越しをした場合、登記申請人が2名となりますが、登記申請は1件で行うことが可能です。この場合、変更後の事項は「共有者甲及び乙の住所〜」となります。

ただし例えば、土地2筆の内1筆は甲単独所有、もう1筆は甲乙共有名義であった場合は、(上記の例にも関わらず、)2筆とも甲乙まとめて住所変更登記を1件で行うことはできません。そのため、このケースでは、①甲単独土地の住所変更登記、②甲乙共有名義の住所変更登記の2件で行うか、①甲の所有者及び共有者としての住所変更登記、②乙の共有者としての住所変更登記の2件で行う必要があり、いずれにしても登記申請件数は少なくても2件で行う必要があります。

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