相続財産法人への氏名変更登記

亡くなった方に相続人がいない場合など「相続人のあることが明らかでないとき」は、被相続人が所有していた財産は法人として取り扱われます(民法第951条)。

通常亡くなった方の所有財産は相続人に承継されることになりますが(民法第896条本文)、元々相続人が存在しない場合や、法定相続人全員が相続放棄をしたことによって、相続人が存在しないことになる場合があります。その場合には、被相続人の所有財産は、相続財産管理人(2023年4月1日より「相続財産精算人)が選任され管理することになります。

例えば、相続財産管理人が被相続人の所有財産を売却する場合、仮に被相続人名義から直接買主に所有権移転登記が入るとすると、被相続人は亡くなっているにも関わらず、亡くなった後の日付で被相続人と買主が直接売買している様に登記上見えてしまいます。そのため、買主に所有権移転登記をする前提として、「相続財産法人への氏名変更登記」を行うことになっています。

相続財産管理人が財産を管理することにはなりますが、相続財産管理人に所有権が移るわけではなく実体は変わらないため、変更登記になります。(そのため付記登記で入ります。)この登記を行うことで、相続財産法人の成立が公示されますし、相続放棄をした人が(法定相続による)相続登記をしてしまうことを防ぐ意味合いも出てきます。

相続財産法人への氏名変更登記の申請における登記原因は、「年月日相続人不存在」とし、年月日は被相続人が亡くなった日になります。また、登記名義は「亡〇〇相続財産」とし、〇〇には被相続人の氏名が入ります。なお、被相続人の登記上の住所や氏名が死亡時に変わっている場合には、住所変更登記や氏名変更登記が必要になりますが、相続財産法人への氏名変更登記との一括申請が可能です。

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