登記識別情報通知

登記識別情報通知とは、登記申請・完了により(申請人自らが)新たに不動産の登記名義人となった人(所有者や抵当権者等)に法務局より発行される、不動産所在や登記名義人の住所・氏名、12桁のアルファベット・数字等が記載された用紙のことで、従来の登記済証(権利証)に代わるものです(不動産登記法第21条本文)。

登記識別情報通知は不動産ごと及び登記名義人ごとに1通発行されるため、例えば土地 1筆、建物1件がどちらも2名共有の場合、2×2=計4通発行されます。注意が必要なのは、登記識別情報通知は申請人が登記名義人になった場合にしか発行されないため、例えば、配偶者と子ABの3名が相続人となる相続登記の申請をAのみで行うと、3名とも不動産の登記名義人とはなりますが、登記識別情報通知はAのみにしか発行されません。また、登記申請時に、登記識別情報通知の発行を希望しない場合は発行されません(不動産登記法第21条但書)。

登記識別情報通知は登記済証(権利証)と同じ役割を果たすため、例えば所有者の登記識別情報通知の場合は、不動産を売却し売主へ所有権移転登記申請をする場合や、銀行から借入をし銀行の抵当権設定登記申請をする場合に使用します。登記済証の場合は現物原本が必要であるのに対し、登記識別情報通知の場合はそこに記載された暗号が重要なため、通知書のコピーや暗号のメモを用いて、登記申請を行うことが可能です。現物自体が不要ということは、暗号を他人に見られるだけで(現物を盗まれたりしなくても)勝手に登記申請をされる危険がでてくるため、暗号部分は切取線で開封する形式で発行されます(少し前の形式ではシールが貼られたものもあります)。

管理に不安がある場合には、元々発行を希望しないこともできますし、紛失した場合なども事後的に登記識別情報の失効申出をすることができます(不動産登記規則第65条)。その場合には、登記申請時に登記識別情報を提供することができないため、事前通知(不動産登記法第23条1項)や資格者代理人による本人確認情報(不動産登記法第23条4項1号)、公証人による認証制度(不動産登記法第23条4項2号)を用いて登記申請を完了させます。

なお、不正に登記申請に使う目的で、登記識別情報を取得した人、保管した人は、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(不動産登記法161条1項・2項)。

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