代表取締役等の住所非表示措置
令和6年10月1日より、株式会社の代表取締役、代表執行役又は代表清算人の住所の一部を、登記事項証明書や登記事項要約書に表示させない様にすることが可能となります(商業登記規則31条の3)。
株式会社において、代表取締役、代表執行役、代表清算人の「氏名及び住所」は登記事項(会社法911条2項14号、23号ハ、928条1項2号)であるため、登記事項証明書等の閲覧により会社代表者の住所を誰でも確認することができ(商業登記法10条1項、11条)、契約の相手方などが会社代表者への責任追及がしやすい反面、プライバシー保護の点から問題がありました。
制度変更により、代表取締役等の住所について、登記官に対して申出を行うことで最小行政区画までの記載とすることが可能となり、その場合には都道府県と市区町村のみ(東京都は特別区まで)が表示されます。(住所を全て非表示とすることはできません。)
令和6年10月1日より、全ての株式会社の代表取締役等の住所の一部が自動的に非表示となるわけではなく、登記官に対する住所非表示措置の申出(商業登記規則31条の3第1項)が必要となります。また申出は、登記申請と同時に行う必要があるため単独で行うことができません。例えば会社の設立登記や代表取締役等の就任や重任の登記、住所変更の登記、管轄外本店移転登記(管轄内本店移転登記では不可)など、代表取締役等の住所が登記されることとなる登記申請の際に、同時に申出を行うこととなります。
住所非表示の措置がとられた後は、代表取締役の重任登記(住所変更がない場合)など同一の住所で登記する際は、登記申請の都度、住所非表示措置の申出をする必要はありませんので、継続して住所の一部は非表示となります(商業登記規則31条の3第3項)。これに対して、代表取締役の住所変更登記(最小行政区画内で住所移転がある場合でも、住所変更登記が不要となるわけではありません。)など異なる住所で登記する際は、改めて住所非表示措置の申出をする必要があります。(その場合、申出がされないと住所非表示の措置がとられずに、住所が全て表示されることとなります。)また一度住所非表示措置がとられた後も、「代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出」(商業登記規則31条の3第4項1号)をすることで改めて住所を全て表示させることが可能です。(こちらは登記申請と同時に行う必要はなく、単独で行うことができます。)
上記制度の対象は現状「株式会社」のみであるため、例えば合同会社の代表社員や一般社団法人の代表理事の住所の一部を非表示とすることはできません。ただし、プライバシー保護の点についての社会的需要は合同会社などの持分会社や一般社団法人など他法人についても同様であるため、実際の制度運用を経て問題がない場合には、将来的に対象範囲が拡大される可能性があります。
*法務省サイトより引用
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