未成年者との遺産分割協議

遺産分割協議は、相続人全員によって行う必要がありますが、相続人に未成年者がいる場合は、家庭裁判所による特別代理人の選任が必要となります(民法第826条1項)。

未成年者(18歳未満の方・民法第4条)は、父母の親権に服し(民法第818条1項)、親権者たる父母には未成年者の「財産に関する法律行為」の代理権があります(民法第824条本文)。しかし、遺産分割協議においては、その性質上ある相続人の相続する財産が増えると、他の相続人の相続財産が減るという関係にある(利益相反)ため、例えば親が自身の立場と子の代理人としての立場で遺産分割協議を行う(結局一人で全て決めてしまう)ことが可能であると、親自身が全ての相続財産を相続する遺産分割内容とし、子が不利益を受ける可能性があります。そのため、親とその子が相続人である場合、子の特別代理人を選任し、親とその特別代理人によって遺産分割協議を行うことになっています。(子が複数名の場合は、子ごとにそれぞれ別の特別代理人を選任します。)

特別代理人選任は(子の住所地の)家庭裁判所が行います。相続人が家庭裁判所に対して特別代理人選任申立を行う際、遺産分割協議の案を提出する必要があり、その内容を元に認められるかの否かの判断がされるため、もし遺産分割内容が子に不利な内容であれば、認められない可能性が高くなります。ただし、例えば子がまだ小さい場合には、不動産を共有名義にしても管理が難しくなりますし、親が子を養育していくことになるため、預貯金額によっては全て親が相続する場合でも認められる可能性はあります。そのため、特別代理人選任申立の際には、遺産分割協議書案だけでなく、預貯金残高を確認できる通帳コピー不動産登記事項証明書評価証明書など相続財産の内容を確認できる資料の提出も必要です。

特別代理人になるのに特別な資格は必要ではなく、子の叔父叔母や祖父母がなることが多い様です。子の利益保護のための制度なので、利害関係なども考慮して判断されます。なお、遺産分割協議のために選任された特別代理人の代理権は、その遺産分割協議に限るため、遺産分割が完了すれば特別代理人の任務も完了します。(ただし、その後その遺産分割内容により子に不利益が生じた場合には、責任を負う場合もあります。)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次