遺産の一部分割
遺産の一部分割とは、遺産全てについてまとめて分割協議を行うのではなく、遺産の一部について先に遺産分割を行うことです(民法第907条参照)。
遺産分割は、遺産全てにまとめて行うことが通常ですが、遺産が多岐にわたるため話し合いに時間がかかりそうな場合や、とりあえず相続税の支払いのために、預貯金を分割したい場合などに一部分割を行うことが有効です。その場合、残りの財産については別途分割協議を行うことになります。後の分割協議を円滑に行うため、一部分割の協議書には、一部分割である旨を明記することが望ましいかと思います。
遺産の一部分割にはメリットがある反面、例えば預貯金を先に分割してしまうと、残りの不動産を分割する際に相続分を調整したい場合や、特別受益の考慮の際に複雑化するなどの不都合が生じる可能性もあります。民法上も、遺産分割調停、審判において「遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合」にはできないことになっています(民法第907条2項但書)。
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