死後事務委任契約

死後事務委任契約とは、葬儀、埋葬や役所の諸手続き等、本人が亡くなった後の事務について委任する契約をいいます。(通常の委任契約については、本人の死亡により終了しますが(民法第653条1号)、この規定は任意規定であり、死後の事務を委任する契約も有効と考えられます。)

子供や親戚等の身寄りのない方が亡くなった後の手続きについて、死体の火葬、埋葬については自治体(死亡地の市町村長)が行うことになっていますが(墓地埋葬法第9条1項)、それ以外の諸手続きや民間契約の精算については自治体が行ってくれるわけではないため、専門家等の第三者と死後事務委任契約を結んでおくことが考えられます。

死後事務として委任する内容としては、役所への諸手続き、家財や生活品の遺品整理、自身の希望する形での葬儀、賃貸マンションや老人ホーム等の契約の精算、相続財産管理人の選任申立手続などがあります。どういった契約内容にするにしても、実際に事務を行うのは本人が亡くなった後のため、契約内容の追加変更はできません。通常は死後の必要な手続全てを希望すると思われるので、契約内容は広く包括的にしておく必要があります。(報酬を設ける場合も明確にしておく必要があります。)このような契約は本人のためだけではなく、契約がない場合、例えば賃貸マンションの借主が身寄りがなく亡くなった場合、貸主が遺品を勝手に処分できるわけではないため、契約をしておくことには他者に迷惑をかけない意味合いもあります。

また受任者を誰にするかは、全く面識がない人に死後事務を委任するのは通常は考えにくく、任意後見契約の任意後見人や財産管理契約の受任者が死後事務委任契約の受任者になることもあります。



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