被害者救済法

2023年1月5日に、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(とその関連法一部改正)が施行されました。

法目的は、法人等から寄附の勧誘を受ける者の保護となっています(第1条)。元首相の襲撃事件を受けての新法ですが、宗教団体全般やNPO法人も対象となります。(そのため寄附全般に萎縮効果が生じるおそれがあり、第12条において信教の自由や学問の自由に対する配慮規定が置かれています。)

第3条において、寄附の勧誘にあたり、十分な配慮義務が規定されています。
①自由な意思を抑圧し、寄附をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすること
②本人・配偶者・親族の生活維持を困難にすることがないようにすること
③寄附の勧誘を行う法人等を特定するに足りる事項を明らかにし、寄附される財産の使途について誤認させるおそれがないようにすること

(②は事件にも関連する項目ですが、第3条については十分な配慮義務にとどまっています。)

第4条において、寄附の不当な勧誘行為(により寄附者を困惑させること)の禁止が規定されています。
①住居や職場からの不退去
②勧誘場所からの退去妨害
③勧誘をすることを告げず、退去困難な場所へ同行
④威迫する言動を交えて、人に相談の連絡をすることを妨害
⑤恋愛感情に乗じて、関係の破綻を告知
⑥霊感等による知見を用いて、重大な不利益を回避するために寄付が不可欠であると告知

第5条において、寄附の資金の調達方法としての禁止が規定されています。
①借入れ
②本人・配偶者・親族が現に居住の用に供している建物・敷地の処分
③本人が営む事業の用に供している土地・土地上の権利、建物等で事業の継続に欠くことのできないものの処分

第6条に第3条の配慮義務に対する内閣総理大臣の法人等への勧告、従わない場合の公表等、第7条に第4条、第5条の禁止行為に対する内閣総理大臣の法人等への勧告、公表等が規定されており、第16条〜第18条には罰則規定が置かれています。ただし行政措置、罰則規定とともに、第5条の資金調達方法の禁止規定については、施行日が2023年1月5日ではなく公布の日(2022年12月16日)から1年以内で政令で定める日となっています(附則)。

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