任意後見監督人の選任
任意後見契約は、家庭裁判所に対して任意後見監督人の選任の申立てをし、「任意後見監督人が選任をされた時」(任意後見契約に関する法律第2条1号)に効力が発生します。
そのため、任意後見契約をしただけでは任意後見受任者には何ら権限がなく、発効後に初めて任意後見人として代理権を行使することが可能となります。(任意後見法においても第2条の定義により、「任意後見受任者」と「任意後見人」は明確に区別されています。)
また、家庭裁判所が任意後見監督人を選任するのは、「本人の事理弁識能力が不十分な状況にあるとき」(任意後見法第4条1項柱書本文)であり、これは法定後見の「事理弁識能力を欠く状況にある者」(民法第7条)とは異なりますが、補助相当程度には判断能力が低下していることが必要です。
任意後見は法定後見と異なり、後見人となる人を指定できる点にメリットがありますが、任意後見監督人を指定することはできません。家庭裁判所が監督人として弁護士、司法書士、社会福祉士等を選任することにより、監督の実効性が確保される反面、例えば任意後見人は本人が家族や親族を指定したとしても、監督人としては第三者が入ることになりますので、任意後見制度を利用しても家族内で完結するわけではありません。
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